社長メッセージ
母なる海、日本人は魚
むかし水産王国日本と言われた時代がありました。年間の漁獲量は1,000万トンを超え堂々の世界1位だった頃です。
それが最近では年間550万トン弱とピ−ク時の半分にも届かず、順位も中国、ペルー、インドネシア、インドに続き
世界で5番目になってしまいました。1970年代の後半に各国が相次いで排他的経済水域を設定してから、他国で自由
に魚が獲れなくなったことが主因です。
その後長い間漁獲の減少を輸入で補っておりましたが、最近では輸入量も年々減り続け、国内の魚の供給量はこの
20年余り減少の一途を辿っております。アジアの近隣諸国や欧米では魚食ブームが高まっているのに国内では逆に
魚離れが進み、このままでは伝統的な和食文化も廃れていくのではないかと危惧されます。
更に別の観点からも看過できない問題が指摘されております。魚には若年者の健全な発育や心身の健康に欠かせな
い、必須アミノ酸やビタミン類が豊富に含まれています。しかし近年の我が国では核家族化が進み、更に飽食の時
代も相俟って、家族一同揃って食卓を囲む風景が珍しくなってきております。料理に面倒な魚は次第に敬遠され、
そのため若年層に必要な栄養は偏り、食事の楽しみも、温もりも感じられない家庭が増えつつあります。
魚の消費量が減っている事と、虚弱で孤独な人間が増えていく事が無関係でないのなら、またその為日本の総幸福
量が減っているのなら、我々業界にもその責任の一端はあります。健全な日本の為に、明るい家庭、幸せな毎日の
為に、水産物の果たす役割は益々重要で、我々は社会的責任を果すためにも、更に強力に魚食の普及に取り組む必
要を感じています。